2008年07月01日

小林監督流ショットガン・サッカー封じ

・サイドのスペースを消す5バック

 今シーズン初のJ2首位決戦において、モンテディオ山形の小林監督は、サンフレッチェ広島の攻撃陣を完璧に封じ込めることに成功した。もともと小林監督は、守備戦術に関して日本人屈指の理論派と高く評価されていた人物。この試合でその評価にふさわしい手腕を備えていることを見事に証明した。

 広島のショットガン・サッカーの特徴は、5トップ気味の前線にある。4バックに対して5トップで数的優位を創り、逆サイドに余るウイングへのロングパスでディフェンスを揺さぶり、マークがずれたところを一気にフィニッシュに持ち込むというのが基本的な攻撃パターンだった。

 これに対して小林監督は、MFを適時に最終ラインへ下げる変則5バックで5トップに対抗。最終ライン両脇のスペースを消し、広島のサイドチェンジを制限した。前線に高さのない広島のサイドアタックは、サイドチェンジでマークがずれた状態で初めて威力を発揮する。そのため小林監督の対策は効果絶大だった。


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・両翼の裏のスペースへのロングフィード攻撃

 さらに小林監督は広島のサイドアタック封じの手をもうひとつ打っていた。両WBの後方のスペースへFWの長谷川を流れさせ、繰り返しロングボールを放り込んだのである。これにより広島の両サイドはボールを奪われるとできる限り素早く帰陣せねばならなくなる。

 通常ならば体力を温存してゆっくり自陣へ戻のだが、カウンターでサイドのスペースを狙われては全速力で戻らざるを得ない。これによりリハンジェと服部は、過度な上下動を強いられて体力を大幅に消耗し、攻撃の余力を大きく奪われた。

 ところが、この策には大きなデメリットも存在した。1トップの長谷川をサイドに流れさせてしまったことにより、ゴール前の人口密度が低下。トップ下の財前が典型的なパサータイプで、アシストを好み、フィニッシュを得意としていなかったため、ペナルティエリア付近までボールを持ち込んでも、なかなか決定機を創ることが出来なかった。


・勝利の女神が微笑むのは誰か

 守備戦術が狙い通りに機能したものの、攻撃には不満の残る内容だったことから、小林監督は後半に財前に代えて宮崎を投入し、システムを4−2−3−1から普段の4−4−2へ変更する。けれども、この変更は失敗だった。

 MFの枚数を削ったことから中盤で数的不利に陥り、サイドを抑えたものの中央を切り崩されて決定的な場面を何度も創られてしまった。そのため小林監督としても対応せざるを得ず、北村を再び右SHへ配置し、改めてシステムを4−2−3−1に戻して守備を安定させなければならなかった。

 しかし、試合終盤ともなればディフェンスばかりに気を使ってはいられない。リスク覚悟の豊田投入でもう一度システムを4−4−2へシフトし、どちらもチャンスを創り合う白熱の展開となった。勝利の女神は万策を尽くした者に微笑む。どちらに転んでもおかしくない内容だったが、勝利の女神はやはりベンチの前で踊っているオジサンではなく、この一戦に特別な思いを持って臨んだ小林監督に最後は微笑んだ。


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posted by hume at 21:33| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
色々ミシャが残してくれたものを
自分のブログでも考えていたのですが、
結論はやはりショットガンになりました。
しかしダンシングミシャ・・面白いですね。
誰かGIFアニメつくってくれないかな・・。
Posted by cfr at 2008年07月02日 11:43
ショットガンはミシャ一代限りのものなので残らなそうな気がします。
まぁ別に残す必要もありませんけど。
とりあえずJ1昇格を置き土産にしてオーストリアへ帰国されるのがベストではないかと。
Posted by humd at 2008年07月02日 21:33
レベルの高い良い試合でしたね。
Posted by 他サポ at 2008年07月02日 21:43
そういう意味では
前半終了間際の同点ゴールが山形にとっては
大変大きなものであったということでしょうね。
あれで小林監督も選手もこの試合を戦い抜く勇気を得たという点においても・・・
Posted by トラマ at 2008年07月03日 16:09
>他サポさん
レベルが高かったと言えばその通りですね。
ただし、サンフレッチェが負けた試合に良い試合など存在しませんけど(笑

>トラマさん
まぁ、あれはある意味仕方がありませんね。
相手がうまかったってことです。
それにしても柏は大久保といい長谷川といい長身FWが順調に育ってますな。
うらやましいことです。

Posted by hume at 2008年07月04日 21:06
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