2008年07月26日

青山・柏木の代表不選出は反町監督の「私は無能です」宣言である

 明治時代以前で日本人の平均身長が一番高かった時代は、なんと古墳時代(3世紀〜7世紀)なのだそうだ。推定で古墳時代の男性は163.0センチ、女性は151.5センチと、明治時代の155.3センチと144.7センチを大きく上回っていた。


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 日本人の平均身長が下がった原因は、飛鳥時代に伝来した仏教の影響とのこと。仏教は輪廻転生の考えから殺生を固く禁じている。それゆえ仏教を国家鎮守の法として国造りを図った当時の天武天皇は676年(天武天皇4年) 4月17日に肉食禁止の詔を発したのだった。これにより日本人の栄養事情は大きく変化し、動物性タンパク質の摂取量減少と比例するように平均身長も低下してしまったのだそうだ。

 北京五輪代表に選出されたメンバーの平均身長は179.33センチ。平山や闘莉王を擁したアテネ五輪代表の平均178.17センチより1センチ以上高く、J33チーム中6位に相当する数値だ(1位は川崎の179.65センチ、最下位は鳥栖の175.07センチ)。

 サンフレッチェ広島の柏木は174センチ、そして青山は172センチ。2人ともJリーガーの平均サイズ177センチに比べてかなり小柄である。それに対して今回五輪代表に選出されたMFは、先日A代表にも召集された172センチの香川を除き全員が平均の177センチを超えている。

 なぜこのように長身の選手ばかりが選ばれたのだろうか。それは反町監督が「走るサッカー」の導入に失敗したためである。そもそもイビツァ・オシム時代のジェフやサンフレッチェのように「走るサッカー」が浸透しているチームに長身選手は必要ない。その証拠にジェフのスタメンMFの平均は172.20センチ、そしてサンフレッチェは175.00センチと小柄な選手ばかりで構成されていたが何の不都合もなかった。

 守備の局面でのジェフとサンフレッチェの選手たちの動きは、獲物を狩るときのオオカミに似ている。オオカミの狩りは、獲物を集団で何キロも追いまわし、疲弊したところを仕留める。この方法によってオオカミは、単独ではとても敵わないバイソンやオオシカなどの大型動物を捕食していた。それと同様に体格で勝るボールホルダーへ組織的にプレッシャーをかけてパスミスを誘発させ、ボールを奪うのがオシム式の「走るサッカー」なのである。

 しかし、反町JAPANの選手たちの動きは、オオカミのそれではない。組織的な連携が全く取れていないため、ボールを奪うのは個人能力任せだった。6月に行われたトゥーロン国際での青山を思い出しもらいたい。あのとき青山は、180センチ超の大男を相手に体をぶつけてボールを奪いにいっていった。だが、軽量級の青山のフィジカルコンタクトが通用するわけもなく、ろくにボールを奪えなかった。

 現実問題として組織の成熟がなされない以上は、ボールを奪うためには1対1でボールを奪える人材をそろえるほか選択肢はない。それゆえ反町監督は、オオカミように組織の中で生きる選手よりも、トラのように単独で大型動物を仕留められる大柄な選手を中心に選手をチョイスした。その最たる例がフロンターレの谷口だろう。

谷口はチーム結成初期に構想外になった選手である。著しい成長がみられるわけでもなく、敗者復活の可能性は皆無に等しかった。けれども、土壇場で選考基準が体格重視へと変更になったことが幸いし、センターバックも務まる182センチの長身が再評価され代表選出となったようだ。

 今回、反町監督は理想を棄てて結果を取りにいったわけだが、反町監督が理想に敗れて現実路線へ変節したのはこれが初めてではない。2005年にはスペインの名門バルセロナに影響されて4−3−3の超攻撃的サッカーを目指すも初戦で大敗し低迷。他チームから非難を浴びたブラジル人3トップ頼みのカウンターサッカーでからくもJ1に残留している。北京五輪での方針転換は、この二番煎じというわけだ。

 反町監督のこの決断は非常に合理的といえる。もし変なプライドにこだわり、出来もしない「走るサッカー」に固執していたならば、本大会ではどうなっていたことだろう。おそらくは体格差に圧倒されて大敗を喫していたに違いない。

 とはいえ、もっと合理的な選択があったように私には思える。それは予選突破が決まった段階で監督辞任だ。「私は一年率いても「走るサッカー」を浸透させることができない無能なので辞めたい」といえばよかったのである。そうすれば五輪という晴れ舞台で、ジリ貧が目に見えている超守備的なリアクション・サッカーを展開する「日の丸の戦士」を見ずに済んだ可能性もある。そう思うと残念でならない。

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posted by hume at 22:41| Comment(17) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
反町監督が体格をそこまで重視するなら平山、金崎あたりはレギュラー格、森島あたりも選出されて、逆に内田は落選だったかもしれませんね。

青山は生で数試合、TVでなら相当数観ましたが、選ばれて当然という格・能力の選手ではないように思います。90分の中で数プレイ魅せてくれるだけでミスも多く、中盤底の組み立て役としては力不足に思います。それ以外の役割でなら他の候補とどんぐりの背比べかと。

逆に柏木は本当に残念でした。大会が半年後なら選ばれて当然、スタメンで当たり前というところでしょう。私見では西川・吉田・柏木・香川は欧州で活躍して、さらにあちらでステップアップできる才能だと思っています。中でも需給関係的に柏木が一番チャンスありだと思っています。
Posted by kuku at 2008年07月27日 10:58
メンバー決まった後にこんなの書くのもアレですが、これはアリですかね?

スタメン(4ー2ー2ー2)
FW
前田遼一OA、カレン・ロバート
MF
香川真司、柏木陽介、橋本英郎OA、青山敏弘
DF
長友佑都、内田篤人、阿部勇樹OA、水本裕貴
GK
西川周作

ベンチ
李忠成(岡崎慎司)、森島康仁(岡崎慎司)、梅崎司、上田康太(高萩洋次郎)、細貝萌、森重真人、山本海人
Posted by POP at 2008年07月27日 11:29
>kukuさん
FWは体格よりもカウンター要員として不可欠なスピードが要求されていましたね。そこら辺がネックとなって平山・森島は落選したのでしょう。

金崎は台頭するのが一足遅かった。

サイドの内田・安田・長友は他に選択肢が無かっただけではないですか。

あと見解の相違なんですけど、北京五輪年代で組み立て能力で青山を上回るのは高萩と上田くらいなのでは。

テクニック面でやや見劣りするため、必要以上に過小評価されていますが、ゲームメーカーとしてはこの年代屈指の存在ですよ。

ただこのチームにゲームメーカーがどうこうなんて言っても仕方がないんですよね。

そもそもチーム戦術が基本リアクション・オンリーですし。

実際反町監督が選んだメンバーの中にゲームメーカータイプの選手なんて一人もいません。

梶山は論外ですし、W本田も展開力はありますが、構成力がない。

正直私はこのチームには何の希望も持っていません。

Posted by hume at 2008年07月27日 11:51
>POPさん
阿倍・水本はなしですが、それ以外はありです。

個人的にはこの二人に変えて松田・青山を推します。
Posted by hume at 2008年07月27日 11:54
要するに自分の好きな選手を選んでいない監督は無能ということですよね。

私は選手選出について議論する時には、
十分に監督の意思を尊重することが重要ではないかと思います。
オシムさん、広島のサッカーで五輪を戦うことを目指す監督でなかっただけなのではないでしょうか。
無能かどうかは結果で決まります。
私自身も今回の五輪代表には管理人さんと同じ意見であり期待できないと思っております。
大多数の人もそのような意見ですので、
万が一、決勝トーナメントに進出できるだけで相当評価されると思いますね。
Posted by よしお at 2008年07月28日 17:14
よしおさん
「オシムのようなサッカー」を目指すことができないからこそ問題なのでは。
日本はその場凌ぎでただ勝つのではなく、目標は「日本化」だったはず。
「日本化」を本気で目指しているのなら反町監督に本大会を率いる資格はないと思います。
オシム氏が倒れてA代表がすでにその場凌ぎのチームに成り下がっているので、このチームもこんなもんでいいのかもしれませんがね…。
本当はだからこそ五輪代表には輝いてほしい。しかし、反町監督にそれは無理でしょう。本大会でどんなに勝ち進もうが。
勝ったら勝ったでそれはいいんですが、未来に繋がる勝利かは疑問です。
Posted by 横からすいません at 2008年07月28日 19:02
>よしおさん
予選でもリアクションサッカーをやっていたなら別に文句はないんですけど。

そもそも私はトータルフットボールの信奉者ではありませんから、「走るサッカー」でなかったからといって文句などあるわけないです。

けれど、五輪代表監督に就任してからの2年間ずっと「走るサッカー」を目指したわけですよね。

それが土壇場で真逆のリアクション・サッカー。

この二年間に積み重ねてきたものが完全にチャラになったわけです。

そりゃあ文句の一つもつけたくなりますよ。

>横からすいませんさん
理想を捨ててまで結果を取りに行ったのだから、せめて結果くらいは残してほしいものですね。

無理っぽいなっとは思いますけど、サッカーは何が起こるかわかりませんし。
Posted by hume at 2008年07月28日 22:06
横からすいませんさん、管理人さん、ご意見ありがとうございます。
日本サッカーのためにもここらあたりで、完敗してもらって
日本人に必要なことはやっぱり走ることだと認識させるいい機会にしてもらいたいところですね。
勝てば官軍みたいな感じで終わってほしくないので。

どっちにしても2010年は日本代表にとって暇な1年になりそうなんで、
日本サッカーが目指すスタイルを全年代を通じて統一してほしいですね。
Posted by よしお at 2008年07月28日 23:25
ご意見ありがとうございました。なるほど!松田直樹ですか!
humeさんは松田をどのように評価してますか?純粋な守備力、ラインコントロール、判断力、ビルドアップその他。

阿部はラインコントローラーとして入れましたが、松田にも可能でしょうか?(松田あんまり見たことないので笑)
Posted by POP at 2008年07月29日 01:23
>よしおさん
勝てば官軍も結構なのではないでしょうか。
勝てるものなら勝ってみろとも思いますけど。

>POPさん
ちょっとおバカなプレーもありますが、現在でも日本NO1のセンターバックなのではないでしょうか。

なぜ日本代表に呼ばれないのかわからないくらいです。

阿部はラインコントローラーじゃないですね。

何試合か見ましたけど、まったく統率できていませんでしたし。

戦術面でも対人でも代表レベルではセンターバック落第なんじゃないです。
Posted by hume at 2008年07月30日 07:41
まず谷口と青山を比べること自体が間違っている。オリンピック代表での二人のポジション・役割を見れば比べたところでどうにもならないことなどすぐわかるはずだ。
日本代表でのポジション・役割が全く違う。プレースタイルも違う。果たしてこの二人を例に出して何の比較をしたいのか全くわからないな。
そもそもメンバー選出で青山と競ったのは谷口ではない。五輪代表でのポジションを考えればわかるだろう。全くのお門違いである。

たしかに反町の北京オリンピック代表は最後にはリアクションサッカーしかできないチームになってしまった。けれど、あなたの言う上田、青山、高萩を入れればアクションサッカーができたのだろうか。世界を相手に。
理想主義も程々にしろと言いたいな。現実主義者の反町の方が日本の現状に合った選択をしているのは確かだろう。
Posted by ネイマ at 2008年08月02日 08:25
谷口は選出に値する結果を残してたと思います。メンバー選考基準どうこう関係なく選ばれたのでは?
柏木に関しては最終予選は素晴らしかったが、今季怪我をしていたしメンバー決定前後の試合は良かったものの同じJ2の香川の成績に遠く及ばない。しかたないのでは?
それに身長の高さ低さで走るサッカーは決められないと思います。
Posted by しろう at 2008年08月02日 11:52
>ネイマさん
青山と谷口では要求される役割が違うとのご指摘ですが、今回の記事では主に反町監督の選考基準の変化を取り扱っています。

最終予選まで重用されていた青山のような軽量級で機動力のある選手ではなく、五輪本戦では谷口のように長身でパワフルな選手が代表に選ばれたた、その理由を書いているわけです。

そして反町監督についてですが、私は記事で以下のように書いています。

『反町監督のこの決断は非常に合理的といえる。もし変なプライドにこだわり、出来もしない「走るサッカー」に固執していたならば、本大会ではどうなっていたことだろう。おそらくは体格差に圧倒されて大敗を喫していたに違いない。』


>しろうさん
確かに谷口は実績から考えれば代表に選ばれて当然です。

ただし、最終予選以前の反町監督の選考基準では完全に選外でした。

「身長の高さ低さで走るサッカーは決められない」というのは、概念としては正しいとおもいます。

ですが、実際に「低くて走れる選手」が外れ、「高くて走れない」選手が代表入りしているわけです。

そこを見ずに一般論を話しても仕方がありません。
Posted by hume at 2008年08月02日 16:15
某所のリンクでコメントさせて頂いたことを思い出しました。更にレスも頂いたようで感謝。

SBの選択肢が無い? いやいや体格重視なら、水本や森重あたりをコンバートし、CBには吉田や青山、更に185cm超のオーバーエイジ起用という策がありますよ。あるいは近藤あたりを試しておく手もありましたね。要はSBについては(そしてCBについても)それほど体格重視ではないのでしょう。

というか、FWとバックラインについて体格重視でないのなら、そもそも「チームコンセプトは体格重視だ」という見立ての方がズレていた、非論理的であった、あるいは考察力不足であったということかも知れませんね。

組み立て能力で青山を上回るのは高萩と上田? 確かに大きな見解の相違ですね。まあ組み立て能力については(体格等と異なり)判定が難しいので深入りは避けます。が、客観的事実としてその3人はプロレベルで結果を残せていませんよね。梶山その他の選手との比較というより、その3人(クラス)の組み立て能力に頼って世界と戦うのは怖いです。落選を嘆くほどではないと思いますよ。

まあメダル獲得の期待が大きいチームだとは私も思いませんが、サッカーというスポーツの本質からしても、開催時期&場所からしてもそこそこの接戦は期待できると思いますよ。決勝トーナメント進出の期待値はシドニー以下なれどもアトランタやアテネ以上だと考えています。対戦相手等も考慮してなおアトランタ・アテネ以下の期待値だと格付けする論者がいるなら驚きです。
Posted by kuku at 2008年08月03日 13:38
現実問題として森重・水本のSBコンバートはありえるのではないでしょうか。

実際に森重は右SBテストされていますし、水本もオランダ戦で左SBとして出場しています。

ところで近藤とは浦和の近藤のことですか?

愛媛FC時代は戦術面が絶望的にお粗末で身長の割には空中戦にそれほど強くないという非常に微妙な選手でしたけど、浦和では代表云々な話が出るほど成長したんですかね。


「チームコンセプトが体格重視」というのは明らかに誤解です。

柏木と青山が外された理由を解説しているのであって、チーム全体の選考基準にまで言及してはいません。


「客観的事実としてその3人はプロレベルで結果を残せていませんよね。」とのことですが、上田が現時点のJ1アシスト王だということをご存じないのですか?

それとも、11アシストでは結果を残しているというには不足なのでしょうか?
Posted by hume at 2008年08月04日 21:46
近藤は柏の近藤のことでは?
Posted by st at 2008年08月05日 14:06
>stさん
私も最初は柏のほうかとも思ったのですが、年齢からすると違うようです。
Posted by hume at 2008年08月06日 18:07
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