2008年09月28日

完全無欠なストッパー 

「この大自然はすべて、個々には完全無欠ではなくとも、それぞれの適性の中でその本領を生かし、互いに与え与えられつつ、大きな調和の中に美と豊かさを生み出しているのである。」

松下電器産業創業者 松下幸之助(1894〜1989)


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 理想は、切り崩されやすい3−4−2−1のサイドのスペースからあげられたクロスを跳ね返す対空能力、攻め上がった最終ラインの裏にできる広大なスペースをカバーできる機動力、味方のサポートなしでも一対一で相手の高速ドリブラーを止められる対人能力、攻撃の起点としてゲームを組み立てに参加できるボールテクニック、それらすべてを併せ持つオールラウンドなストッパーである。しかし、そんな選手はなかなか見つからない。

世界中にスカウト網を張り巡らせ、スター生産工場とまで呼ばれる育成システムを持つオランダの名門アヤックスですら、「守備に難があっても攻撃性能の高い選手を3バックの中央」、「ボールテクニックに劣っていてもマンマークに秀でた選手を3バックのサイド」といった具合に攻守分業体制でやっていた。パトリック・クライファートやクラレンス・セードルフを擁し欧州チャンピオンズリーグとトヨタカップを制覇して世界一のクラブとなった1995年当時のアヤックスにも、そんなパーフェクトな選手を3人もそろえることができなかったのである。

 それを日本の地方クラブであるサンフレッチェ広島がやってやろうというのだからたいしたものだ。とはいえ現実問題として理想通りの選手の獲得は非常に困難である。しかもペトロヴィッチ監督は、高さとスピードを兼ね備え一対一にも強く、条件の大半を満たしていた吉弘と西河を足元の技術に難があるというだけで失格の烙印を押すほどボールテクニックを重視する監督である。必然的に足元の技術が稚拙な選手は対象外となってしまう。

 方向性としては二つある。一つは「高さはないが足の速い選手」、もう一つは「鈍足だが空中戦に強い選手」である。どちらを優先するかというと前者だろう。J1はゴールランキングを見てもわかるとおり、マルキーニョスやダヴィなど高速ドリブラーが得点源となっている。これに対抗するためには相手アタッカーに走り負けない速力が獲得の第一条件となる。

 ただし弱ったことに、足が速くて足元の技術があるCBというのがほとんどいない。現在出場機会の少ない選手たちの中ではアルビレックス新潟の中野くらいだろう。中野は身長174センチの小柄な守備的SBでCBもこなすユーティリティ・プレーヤーである。所属のアルビレックスではSBに攻撃力が、CBには高さが求められるため、満足な出番を与えられずにいる。

 あとは他のポジションからコンバートしてくるしかない。選手が受け入れるかはともかくとして、考えられるのはジェフ千葉の苔口と東京ヴェルディの海本などSB経験のある選手あたりだろうか。バクチになるが、鍛えようによってはモノになるだろう。

 他方の「鈍足だが空中戦に強い選手」だが、こちらはそれなりに人材がいる。ジェフ千葉の斎藤、ベガルタ仙台の一柳あたりがそうだ。CB経験者ならばコンサドーレ札幌のディビッドソン純マーカス、東京ヴェルディの福西もいいだろう。盛田のように長身FWからのコンバートならコンサドーレ札幌の中山元気や愛媛FCの若林もおもしろい。

 ただしこれらの選手は結城のようにスピード不足から高速ドリブラーに対応しきれず、戦犯扱いされる危険性がある。やはり「高さはないが足の速い選手」を中心にリストアップしていくのが妥当ではなかろうか。あくまでもオールラウンドなストッパーにこだわるならば外国人を連れてくるのもありだと思う。


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posted by hume at 20:10| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大変面白く、また興味深く読ませて頂きました。

改めて広島が求めるCB像を認識しましたが、やはりCBの補強が一番難しいと感じました。
ただ、いちサポーターの立場で言わせて頂くと、カズをCBで使うような事態にしない為に、CBの補強には力を入れて欲しい、という事ですね。
カズがボランチに入った時の広島は、本当に気持ち良くボールが動きますから。
その状態を長く維持する為にも、CB補強は今オフの目玉と位置付けても良いのではと思います。

個人的には、磐田の加賀選手などがスピード系CBの候補に入りはしないかと考えています。
Posted by 熊サポ@島根 at 2008年09月29日 15:47
名古屋の大森なんかどうでしょ。足元はあるし、スピードもそこそこ。組み立てはあんまり出来ませんが、出場機会は少ないです。もっともずっとクオリティは落ちますが。けっこう年ですし。怪我してんのかなあ、今。
ただ、そんなナイスなCB、どこのチームも手離しませんってば。笑
Posted by タカク at 2008年09月29日 22:23
ネタとかじゃなくて菊地直哉はどうでしょうか?
日本でいつまで出場停止なのかわかりませんが。
あとは青山隼、近藤直也はどうでしょうか。
Posted by 焼 at 2008年09月29日 22:47
鈍足で頭悪そうだけど本田ケイスケを鍛えるってのはどうっすかね
Posted by さぽおたあ at 2008年09月29日 22:59
>熊サポ@島根さん
加賀はジュビロ磐田のレギュラーなので移籍金が発生してしまうのが悩ましいところです。


>タカクさん
大森だけでなく名古屋の控えはタレントの宝庫なんで欲しい選手がいっぱい居ますね。
あそこはフロントが監督の戦術やシステムを考慮せずに優秀な選手をかき集めているので、埋もれてしまうタレントが少なくありません。
広島にとっては大森、米山、三木、片山あたりが狙い目だと思ってます。

>焼さん
能力的にはどこのチームも欲しがるでしょうけど、あれだけ信義を踏みにじった選手を今の段階で連れてきたら、周囲から総すかんくらいそうなんで、よしたほうが無難だと思います。

青山隼は名古屋の生え抜きなので獲得は難しいでしょうね。
近藤は西河系なので近藤を獲得するくらいなら素直に西河を呼び戻したほうがよいでしょう。

>さぽおたあさん
私も北京五輪の際に本田圭リベロ論を唱えたことがあります。鍛えればやれると思いますよ。ただ獲得資金をどうやって捻出するかが問題です。
Posted by hume at 2008年09月30日 08:56
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