2009年03月08日

【横浜FM対広島】選手主導の戦術変更の成否を分けるもの

 サンフレッチェ広島と横浜Fマリノスには3−6−1のフォーメーション以外にも共通点があった。それは両チームの選手とも、監督から試合中の戦術変更の権限を与えられている点である。チーム戦術について監督の専権事項のため、選手に戦術変更の権限が与えられることは非常に珍しい。もちろん選手側が試合中に監督へシステムの変更を提案することはよくあるが、それはあくまでも提案である。選手たちが独断で監督の許可なくフォーメーションを修正することなど、プロの世界ではほとんどない。しかし、横浜FM対広島の試合では両チームとも状況に応じてシステムを頻繁に変化させながら戦いを進めていた。


試合中にも変化!横浜“カメレオン布陣”
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2009/02/17/01.html


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 試合序盤、横浜FMは守備に欠陥を抱えていた。ストヤノフのロングパスによって最終ラインを押し下げられると、バイタルエリアに大きなスペースを空けてしまう傾向があったのだ。これはマリノスの若い小椋と長谷川のダブルボランチに原因がある。2人とも後方のスペースケアを苦手とするため、DFラインが後退しても連動して下がろうしない。それによりボランチとCBの間にオープンスペースが生じたのである。

 前半3分に渡邉の先制ゴールを許した広島は、この弱点を見逃さず反撃に転じた。2トップ下に入った柏木と高柳がバイタルエリアで自由に動けたため、2人を基点にボールを両翼へ展開、ミキッチと服部のサイドアタックから2−1と逆転に成功した。特に後列からフリーで飛び込んだ青山、佐藤寿がからんだ2点目のゴールは、広島側としてはしてやったりのシーンだったことだろう。

 この時点からカメレオン・マリノスが迷走を始めた。1点のビハインドを負った横浜FMは、DF陣が中心となって話し合い、バイタルエリアをケアするため、CBの松田をボランチに上げた2−5−2−1へフォーメーションを変更した。けれどもこれは、状況を考えれば間違った選択だった。最終ラインのサイドで攻撃の起点となっていた中澤と栗原が、2CBとなったことからビルドアップに参加できなくなってしまった。ディフェンダーが中心となって相談した結果、守備の問題に気を取られ、追撃しなくてはならない状況で攻撃のメカニズムを破壊するような戦術変更を行ってしまったのである。

 さすがに横浜FMの選手たちもまずいと思ったらしく、最初の変更から約10分後、守備の不安を覚悟で3バックに戻した。だがここで不運にもリスクを取った直後に3失点目を喫した。2ゴール目と同じく3ゴール目もフリーでゴール前に飛び込む高柳と柏木にフィニッシュまで持ち込まれてしまった。ついていないときは、こんなもんらしい。

 横浜FMは、ハーフタイムに迷走の原因となった小椋、長谷川の若手二人を交代させ、カウンターを得意とする坂田、山瀬を投入した。木村監督の意図は、おそらくリードしていようと守りに入らない広島の戦術を逆手に取り、ボランチに配球能力のある兵藤と狩野をボランチに下げ、坂田と山瀬のドリブルを活かした速攻で逆転を狙おうということだったのだろう。しかし広島は、攻撃を手薄になった横浜FMのサイド狙いに切り替え、中央の守備を固めて横浜のカウンターを許さない。横浜FMは松田を再びボランチへ上げ、キム・クナンを前線に入れパワープレーを仕掛けるが、これに対して広島も対空要員に長身の盛田を投入し、横浜FMの攻撃を栗原のセットプレーの一発で凌ぎ切り、4−2で逃げ切った。

 広島と横浜FMの違いは、選手の戦術的柔軟性の高さである。広島にはバランス感覚に優れた森崎和や青山が中盤に君臨し、3バックでも4バックでも自在に対処できた。けれども横浜は、若手二人がバランサーとしての資質に欠けたうえ、さらにFWが本職の清水が右サイドを担当していた。4バックに変更した際に右サイドバックをFWにやらせては無理が出ても当然である。2年前、広島も森崎和にCBをやらせるという致命的な過ちを犯してしまった。いまの横浜FMは、当時の広島と同じ轍を踏んでいるようだ。


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posted by hume at 16:04| Comment(3) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごく的確な指摘に驚きました。

素人の域を超えてますね。

私もその息を目指していきたいと思います。

これからも、楽しみにしております!
Posted by tn10 at 2009年03月08日 19:27
 現在ミキッチは、ディナモ・ザグレブで右サイドハーフと右サイドバックの両方でプレーしている。どちらのポジションに向いているかというというと、どちらにも向いていない。欧州ではサイドハーフに個人技での突破が基本技能として求められる。だがミキッチのレパートリーにディフェンスを単独で切り崩すドリブルは含まれていない。瞬発力でマーカーを振り切るくらいがせいぜいだろう。

 こうしたミキッチの特性をふまえると、どうしてもサイドバックでの起用を考えたくなるが、ここでネックとなるのがミキッチの守備力不足である。ミキッチは元々FW出身でディフェンスが得意な選手ではない。プレー動画でも守備の局面でサボったり振り切られたりしたシーンが散見された。動画がゴールハイライトだったことを考慮しても、ディフェンスが万全とはいいにくい。



この文章思いっきり的外れでしたね(笑)
Posted by qp at 2009年03月09日 01:31
>tn10さん
コメントありがとうございます。
がんばります。

>qpさん
どこが的外れなのでしょう。

ドリブル突破がないと書いたことについてでしょうか?
この試合でミキッチがドリブルで抜いたシーンは前半18分にディフェンダー二人の間を割って入った一回のみです。
ストヤノフのロングパスから抜け出した場面を見て勘違いでもされたのですか?

それとも守備力不足の点についてですか?
こちらならば半分あたりです。
守備をサボるというのは杞憂に終わりましたが、1対1では横の揺さぶりに弱いという欠点を見せていました。

それ以外に何か的外れと思う点がありましたらご指摘ください。
Posted by hume at 2009年03月09日 08:20
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開幕したJ
Excerpt: 前日外泊してたせいでいささか疲れ気味の状態だったのですが 開幕戦を某所で見ておりました。 多少の不安なところもありますが 結果は最高、内容もまあまあというところでしょうか。 相手の横浜はセット..
Weblog: はっきり言ってアレなブログ
Tracked: 2009-03-08 17:41
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