2009年06月07日

【戦術分析】ファジアーノ岡山

 前回のカターレ富山の記事で、不思議なことに岡山県から大量のアクセスがあった。記事のテーマとさほど関係のなかった「ファジアーノ岡山」という言葉が、ロボット検索に引っ掛かったのが原因らしい。そのためファジアーノネタに飢えている訪問客の方々に大変な無駄足を踏ませてしまったようだ。このままでは心苦しいので今回は、ファジアーノ岡山のサッカーを詳細に分析したレポートを掲載することにした。サンプルとしたのは第9節カターレ富山戦(4月19日)と第19節ベガルタ仙台戦(6月3日)である。


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 今シーズンJFLからJ2に昇格したファジアーノ岡山は、JFLで18チーム中11位(43点)の失点数を記録し、ディフェンスの整備が急務だった。リーグ開幕前に守備組織の整備に定評のある影山雅永氏をヘッドコーチに招へいし、4−2−2−2のプレッシングサッカーでJ2・1年目のリーグ戦に臨んだ。

 今回分析対象としたのはやや古くなってしまったが第9節のカターレ富山戦である。岡山は第8節終了時点で1勝も挙げられていなかった。そのため同じく昇格組で第5節のザスパ草津戦で先に初勝利を記録した富山は、是が非にも勝ちたい相手だった。

       西野
   小林康
  妹尾     喜山
    保坂 小野
 尾崎       澤口
    植田 金
      李

 スターティング・フォーメーションは4−2−2−2。守護神の李は、シュートストップに長けたGKだ。最終ラインは右から澤口、金、植田、尾崎の4人だ。右SBの澤口は、1対1に強いディフェンシブなタイプだ。その逆サイドには豊富なスタミナを武器にオーバーラップを繰り返し、攻撃に幅を創ることのできる尾崎が入った。DFライン中央のペアは、共に長身で空中戦に強いストッパーの金と植田が配置された。

 ダブルボランチは、体格の割にフィジカルコンタクトに強い小野と運動量豊富で得点能力も備えた保坂の2人。中盤のサイドは、右にFWが本職の喜山、左にチーム1のドリブラー妹尾という組み合わせ。前線はゴール前での勝負強さが売りの西野とペナルティエリア手前からのドリブルが武器だった(この試合ではドリブルをほとんど試みず)小林康の大型FWコンビが起用された。

 8試合を消化しながら、いまだ未勝利ということからも容易に推測されるとおり、岡山は攻守両面に致命的な欠陥を抱えていた。まずは攻撃面から説明しよう。岡山の陣形で特徴的なのは、両サイドのアタッカーに利き足がポジションと逆の選手を配置している点だ。これは中央へ切り込ませてミドルシュートを狙わせようという意図があり、昨今のワールドサッカーの重要なトレンドのひとつである。しかし、いまの岡山が流行を追うのは百害あって一利なしだ。

 このやり方だと岡山の2トップがサイドに流れるタイプではないため、ピッチ中央で渋滞がおきてしまうという問題があるのだ。2トップの西野と小林は、ペナルティエリアの幅を縦に動くタイプのFWだ。喜山と妹尾が中央よりに位置してしまうと、同じDFラインの前のエリア1か所に4人のアタッカーが集まってしまい、互いの持ち味を打ち消し合ってしまうことになる。そうなると攻撃の幅も奥行きもつくることが出来なくなり、攻撃が機能しなくなってしまうのだ。

 手塚監督がこのような方法を取ったのには、2列目の選手をセンターに絞らせることによってサイドへスペースを創り、両SBの攻め上がりをうながすという目的があったかもしれない。けれども澤口も尾崎もオフェンス能力に乏しく、サイドを攻め上がっても有効な攻撃にはまるでつながらなかった。2トップが共にクロスへの対応に優れた選手だったことから考えても、サイドからのクロスを攻撃のメインにした方が良かったように思えるのだが。

 守備の局面ではディフェンスリーダーの空席が一番の問題だった。岡山には当時負傷離脱中だった野本を含めて、ラインコントロールの出来る人材がいない。このためチームとしてはDFラインを高く保つことが約束事となっていたにも関わらず、リーダー不在の最終ラインがFWとの駆け引きに簡単に負けてズルズルと下がってしまい、DFとMFの2ラインの間に大きなスペースが生まれがちだった。そのためバイタルエリアを基点に攻められやすく、他チームに比べてミドルシュートやスルーパスからの失点が多かった。

 4−2−2−2のプレッシングサッカーは、第17節終了時点で2勝9敗6分けと思わしい成果を得られず、第18節湘南ベルマーレ戦にシステム変更が行われた。それでは第19節のベガルタ仙台戦を元に変更点を中心に説明しよう。

      喜山
      保坂
  小林優     三原
    竹田  小野
 尾崎        澤口
    植田  金
      李

 第9節とのメンバー変更は4人。金、妹尾、小林康、西野が外れ、野本、竹田、小林優、三原が入った。フォーメーションは4−2−3−1。最終ライン中央はカバーリングを得意とする野本が植田とコンビを組み、ボランチの保坂がトップ下にポジションを移し、小野の相棒にはジェフ千葉出身の守備的ユーティリティプレーヤーの竹田が収まった。右SHには高円宮杯優勝メンバーで「ヴェルディのマルディーニ」と呼ばれたレフティの三原、左SHには同じく左利きでキック技術に定評のある小林優が起用された。1トップには第9節で右SHとして出場した喜山が先発した。

 オフェンス面は、相変わらず攻撃に奥行き、幅が共に無く、まるで機能していなかった。中盤の両サイドが中央へしぼり気味にポジショニングし、さらに1トップの喜山までもがボールを受けに下がってきてしまったため、またも中央で大混雑した。幸い相手のDFが喜山の動きについて来ず、中盤で数的優位となりペナルティエリア手前までボールを簡単に運ぶことが出来ていた。ところが実質0トップだたことから、前線でボールの受け手になる選手がおらず、確率の低いミドルシュート以外に選択肢がなく、得点につなげられなかった。

 ディフェンス面では改善が見られた。プレッシングサッカーを断念し、中盤と共にDFラインを最初から引き気味に布陣し、最終ラインの前後のスペースを消し、守備力をアップすることに成功した。J2で1、2位を争う得点力を誇る仙台を相手に前半の45分間を無失点に抑え込み、後半開始直後に一瞬の油断を突かれて失点したものの、守備のパフォーマンスそのものは大きく向上した。

 あとは攻撃面を改善すれば結果は自ずとついてくるだろう。とりあえずサイドアタッカーに逆足の選手を置くのはよしたほうがよさそうだ。特にミドルシュートが得意なプレーヤーがいるわけでもなく、あまりメリットが見受けられない。多少古臭いスタイルには違いないが、前線の高さを生かしてピッチをワイドに使ったサイドアタック主体の戦術に変えたほうが良い結果を生みそうなのだが、はたしてどうだろう。


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posted by hume at 21:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by 腕時計 電波 at 2013年07月28日 04:32
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