2007年02月01日

J2における戦術・システムの新潮流 〜高木ショックの影響〜

J2の外国人FWといえば、エメルソン・ジュニーニョ・パウリーニョに代表されるように、個人技による突破でゴールを量産する高速ドリブラー型のストライカーというのが相場だった。しかし、今年はそれとはまったく違うタイプ、パワーとスピードを兼ね備えたフィニッシャー型のFWが補強ターゲットとなっている。これは横浜FC・高木監督の成功の影響である。

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昨シーズンのJ2各チームは例年の通り、仙台のボルジェス、札幌のフッキ、モンテディオのレアンドロなど高速ドリブラーが補強した。彼らはそれなりの結果を残した。けれども、カウンターと個人技でゴールを決めるものの、サイドアタックのフィニッシュ役としては役者不足だったため、引いて守る敵に苦戦する原因ともなった。

そんな中、快進撃を見せたのが高木監督率いる横浜FCだった。高木監督の手腕は確かに賞賛されるべきものだった。けれども、J2の特殊性による恩恵を受けた感も強い。

J2の特殊性とは何か?それは下位チームの異常な攻撃意識の高さである。確かにJ2下位チームは引いて守ってカウンターを基本としている。これはどの国のリーグにも共通する傾向だ。特徴的なのは攻撃に掛ける人数の多さ。普通下位チームとは守備を重視しする分、攻撃に人数を掛けず、多くても5人、少なければ1人というのが一般的だ。だが、J2最下位の徳島ヴォルティスは7人、12位のザスパ草津も7人。これはいくらなんでも攻撃的過ぎる。

両チームとも3−5−2を採用しているのだが・・・確かに3−5−2ではウィングバックをどれだけ高い位置に押し上げるかが、サイドアタックを機能させる上で鍵となる。羽地・小林のツインタワーとリーグ最長身フォワード太田を要する徳島・草津がサイドアタックを重視するのもわかる。しかし、ウィングバックが高い位置を保つためには、最終ラインの押し上げが必要だ。

ここに信じがたいデータがある。45節終了時点のデータだが、奪オフサイド数は徳島がリーグ2位、草津がリーグ4位。両チームともオフサイドトラップはほとんど使わずにこの数字である。被スルーパス数にいたっては徳島がワースト1位。どう考えても下位チームの数字ではない。守備の局面では引いて守りを固めるが、攻撃の局面では人数を掛けすぎ、高いDFラインの裏をカウンターで突かれて失点。身の程をわきまえた方が良い。

もうお分かりだろう。戦力的には中位以下の横浜FCが優勝できた理由。それは速攻で人数を掛けて攻める相手を切り捨て、長身のアレモンと城の高さを活かした遅攻で相手の堅陣をこじ開け、引いて守りを固めた堅陣で遅攻を跳ね返す。速攻・遅攻・堅陣。この3種の神器をそろえた唯一のチームが横浜FCのみだったのだ。柏は引いた守る相手に苦慮し(対堅陣)、神戸はCBのスピード不足を露呈(対速攻)、仙台はサイドアタックに滅法弱かった(対遅攻)。

現在、高木ショックの影響を受け、いくつかのクラブが追随の動きを見せている。仙台のウィリアン、札幌のダヴィ、徳島のクレベルソン。日本人も含めれば山形の豊田、愛媛の三木、湘南の柿本がそうだろう。彼らの共通点はポストプレーよりもフィジカルを活かしたフィニッシュを得意とする点である。フィジカルを重視したイングランド・スタイルの4−4−2。それが来シーズンのJ2スタンダードとなるであろう。

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posted by hume at 21:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
J2の特殊性とのことですが、降格がないことや下位と上位の差がJ1よりも大きいことが下位クラブの極端な戦術採用を促す遠因となっているのでしょうか。それとも下位クラブにたまたまそういう監督がいただけ…? これがもし下級カテゴリーへの降格があったりしたらJFL上位はJ2下位に十分伍するように感じていますのでこうはならないのでは、なんて。
Posted by ごっちゃん at 2007年02月04日 15:36
こんにちは。

ごっちゃんさんのおっしゃるとおりだと思いますよ。

成績をリーグ戦の順位ではなく、観客動員(売上)で判断するならば、勝利至上主義ではなく、スペクタクル至上主義となってもおかしくはないです。

Posted by hume at 2007年02月05日 19:15
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