2007年09月08日

各年代のユース代表に共通する戦術的欠陥について

先日U18日本代表が静岡選抜、東北選抜といった地域選抜に敗れるという珍事が起こった。

選手の質で劣る地域選抜に敗れたのは明らかな失態である。

代表スタッフの責任は重い。

選手の質で上回っていたにもかかわらず敗れた。

それならば、敗因はチーム戦術にあるとみるのが妥当だろう。

それではいったい何が問題だったのかを検証してみたいと思う。


人気blogランキングへ

ユース代表は基本的にJFA技術委員会の強化方針に基づいたチーム戦術で試合に臨む。

強化方針は各種国際大会の分析から得られた世界の戦術トレンドを基に策定されており、その中で特に重視されていたコンセプトが「攻守15秒の質」、「人もボールも動くサッカー」、「リスクマネジメント」である。

簡単に説明すると以下のようなものとなる。

リスクの少ないDFラインの低めに設定したロー・プレスで守備を固め、ボールを奪ったら15秒以内にコレクティブ(多数のアタッカーが連動した)カウンターでフィニッシュに持ち込む。

そして、ボールを奪われたらファーストディフェンスで相手の攻撃を遅らせ、速やかに帰陣して守備ブロックを形成し、相手の攻撃に15秒以上の時間を掛けさせる。

ハイ・ラインを避けることで「リスクマネジメント」、流れの中で生まれたゴールの約75%が15秒以内に決まったというデータに基づく「攻守15秒の質」、日本人の特性を活かした「人もボールも動くサッカー」の3つのコンセプト融合。

これこそが日本サッカー協会技術委員会の理想のサッカーである。

いっけんロジックの筋道が通っており、何の問題もないように見える。

ところが、この理想は机上の空論であり、致命的な欠陥を抱えている。


机上の空論になってしまった原因、それは遅攻に対するディフェンスと速攻に対するディフェンスを混同してしまったことにある。

確かに遅攻に対してロー・プレスで守るのは、現代サッカーのトレンドに違いない。

それは技術委員会の資料を見ずとも海外サッカーを実際に見れば分かる。

そして、相手の速攻に対して素早く後退して守備を固めるというのも間違いではない。

けれども、コレクティブ・カウンター志向の強いチームの場合は、話が別である、退くことなど許されない。

ボールを奪われたらディフェンスラインを押し上げハイプレスを掛けなくてはならない。

これはリードしているなどの事情がない限り絶対だ。

複数のアタッカーがボールを奪った直後にフィニッシュのために低い位置から長い距離を駆け上がってきているのだ。

それがボールを奪われたからといって全速力で帰陣させるのでは、本当の無駄走りになってしまう。

選手の中には無駄な体力の消耗を抑えようと走るのをやめてしまうものもいるだろう。

2005年の大熊ジャパンを思い出してみるとよい。

あの時も結局「ボールしか動かないサッカー」だった。

これがポゼッション・プレーならば問題なかった・・・わけでもなかったのだが、それは別の機会にでも取り上げようと思う。


人気blogランキングへ
posted by hume at 22:33| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
低めに設定したロープレスから
人数をかけたカウンターって考えてみたら
恐ろしいですね。んな無茶な・・みたいな。
ボールを奪われてハイプレスって
リードしてるときの東京くらいしかあんまり
記憶に残ってませんw
Posted by UO at 2007年09月08日 23:21
>UOさん
実はこれってサンフレッチェも同じなんですよ・・・。

うちの選手たちはまじめに走ってますけど、よわっちゃいますね。

Posted by hume at 2007年09月08日 23:32
いいとこ取りしようとするから
凄く不自然で無理が生じているんですね

15秒という制約は論外です
ユース年代での強化目標とはとても思えない
基本も無視して結果だけ真似しようだなんて有害この上ない

なぜA代表で質の向上を図って、ユースで結果を追求するのだろうか
Posted by CSKA352 at 2007年09月09日 01:02
初コメント。はじめまして。いつも読ませてもらってます。


今のU18は地元の隣町の子がいるんで注目してたんですが、そんなことやってたんですね。理論はしっかりしてても頭でっかち、というパターンと思いきや理論の時点でこけてるとは・・・・
Posted by ネリチャギ at 2007年09月09日 09:48
>CSKA352さん

なぜなんでしょうかね。

ただ、吉田U20代表チームのように田嶋幸三の考案した『15秒ルール&ロングボール哲学』からの脱却に成功した例もあります。

路線変更があるかもしれませんので、しばらくは様子見ですね。


>ネリチャギさん

コメントありがとうございます。

日本サッカー界が急激に成長したことによる歪みなんでしょうね。

10年前の専門誌サッカークリニックを読むと現在との差に愕然としますよ。

これでは周囲の進歩から取り残されてしまう人々が出ても仕方がありません。
Posted by hume at 2007年09月09日 16:44
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/54500565
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。